東松島市矢本地区の被災地で
復興の種を播く大規模農業法人。
代表取締役社長 武田 惠喜さん
当社は、平成25年11月7日に、東日本大震災で被災したこの地の農業を復興するため、国や県、市からの支援を受け、被災農家が集まって設立しました。私たちは、長年この地で農業を行ってきたので、田畑が荒れていくのを見るのは、辛かったという理由もあります。初年度から、鶏糞など有機肥料を取り入れながら土づくりに取り組んできたので、年を追うごとに、良い作物ができていくと確信しています。実際、昨年度から単独で黒字になってきました。
現在の主要な栽培品目は、水稲です。「ひとめぼれ」と「つや姫」は、合わせて64.9haもの面積になります。震災後に圃場整備をした際、大きく区分けしたので、トラクターやコンバイン、消毒用の無人ヘリコプターを利用して、効率的に作業を行えています。
また、「ササニシキ」は31.5haを完全直播(じかまき)しています。当社は種蒔き機が2台あるので、1日で約10ha に種を播くことができます。時期になったら自然に芽を出し、稲穂も倒れにくいので、あまり手間がかかりません。人気が高まっている品種のため、需要も多いです。
その他、大豆(34ha)・大麦(9ha)・牧草(9.2ha)・ミニトマト(施設栽培 120a)・長ネギ(露地栽培 70a)・西洋野菜(30a)も栽培しています。
全ての作物を合わせた栽培面積は、西矢本地区の被災農地の約半分にあたる150ha 近くです。園芸部門は、防災集団移転跡地も利用しています。また、周辺の農家の方から依頼があれば、農地を請け負うことが可能です。震災に負けずに、困難を逆手に取った大規模農業ができています。
今後もコストを下げ、利益を上げて、業績をさらに向上させていきたいです。また、6次化も視野に入れています。例えば自分たちで作った大豆で味噌をつくり、店に並べられたら最高ですね。

自社にあるお米の農業設備。

整備された消毒用無人ヘリコプター。