「きものをやさしく、たのしく、おもしろく」をモットーに、革新的なアイディアで和装業界に新風を吹き込む
代表取締役 高橋 和江さん
今日、着ているのは何度も色替えや染め替えをした大島紬です。時代を経て着続けられてきたから、滑らかで肌触りがよく、何とも言えない風合いで手放せない一枚になりました。京染めやその後のお手入れなど、着物の悉皆を家業とする家に生まれた私ですが、実はきものは面倒なもの、お金がかかるもの、と若い頃はあまり好きになれませんでした。きものそのものの良さはわかっていても、気軽に着るにはあまりにハードルが多すぎると感じていたのです。多くの女性が、同じことを感じているのではないかと思います。そこで、私は「きものをやさしく、たのしく、おもしろく」着るために、なにができるかを考え、ひとつひとつ必要なことを実現してきました。
たとえば、着るたびに毎回丸洗いに出していたら、代金もかさむし着物自体も傷みます。着物に大敵なのは汗汚れですから、それを防ぐ機能性肌着を作ろう、そしてできたのが吸湿性や速乾性に優れた和装肌着のシリーズです。こちらは、今までにない商品としてネットショップを通じて大きな反響をいただきました。ネット販売は、2011年の東日本大震災より以前の2007年から始めていたのですが、震災直後は全国のお客様からご心配や励ましのメールをたくさんいただきました。その言葉を力に「気仙沼」から、お客様に求められるきもの屋として「ほかにないもの」「着る人に喜んでもらえる」ものを作り続けていく決意を新たにしました。
現在、自社の縫製工場では、私どもが誇りにしている、熟練の和裁職人がていねいな仕事で製品を作り上げています。きものが誰でも、「着たいときに着られる」「手入れや汚れを気にせず、楽しんで着られる」ものであるように、これからも常識にとらわれない自由な発想で、きもの業界全体が元気になるような活力ある企業を目指していきたいと思います。

実店舗「御誂京染 たかはし」。

オリジナル商品を手にとる高橋社長。

ネットショップを運営する齊藤さん。