これまでの水産加工業界にない流通の形をつくり、
新たなビジネスモデルで地域の課題解決に挑む。
代表取締役社長 髙田 慎司さん
寒流と暖流がぶつかる三陸海岸は、世界三大漁場として広く知られています。当社は、この豊かな海が育むホヤ、ホタテ、カキを扱う水産加工のベンチャー企業です。東日本大震災では工場が壊滅状態になりましたが、いち早く営業を再開し、宮城県の漁業復活の起爆剤的な役割を果たしました。しかし、その後、ホヤは韓国の輸入規制の影響もあり苦境に立たされ、牡蠣も生産量が震災前の3分の1と伸びず、さらに国内マーケットは縮小傾向にあり業界の衰退も懸念されます。これらのリスク回避のため、また、恵み豊かな漁場を衰退させないため、当社では、既成概念にとらわれない新たなビジネスモデルの創出が必要と考え、「MARINE×INNOVATION」を掲げ、サスティナブルな流通の仕組みづくりへの挑戦を続けています。特に近年は海外輸出に注力し、漁協を通さないダイレクトな取引により生産者とより近い貿易を展開しています。例えば、カキの場合、日本では夏場は敬遠されますが、シンガポールでは1年中食されます。日本ではむき身が主ですが欧米では殻付が常識です。そのため、殻付きカキが周年消費される海外市場に突破口を開く戦略を展開し、東南アジアなどとの取引を始めました。この結果、4月以降は収入が途絶えていたカキ生産者は収入が得られ、生産量の増大に結びついています。私どもは、流通側から一次産業の活性化にチャレンジしています。自らプロモーションを行わない大手商社と異なり、現地に出向いてイベントを行い、市場を掘り起しています。従来のやり方に頼らない全く新しい流通システムの展開こそが、地域の産業の課題を解決する手段なのです。
当社の仕事は上から事業計画を与えるのではなく、自ら計画を組み立て、調査をし、資料を作り、海外へ運んで取り引きへと導いていきます。そのため裁量権の大きさ、仕事の幅の広さは想像以上です。最新の工場における徹底した衛生・品質の管理のもと、高品質の商品をこれまでにない流通のかたちで発信し、地域の課題解決に貢献していきましょう。

急速冷凍した殻付牡蠣を東南アジア中心に輸出。

本社工場は米国HACCP 認証取得、衛生に配慮して稼動している。

諸外国への輸出に向けて、事務所では世界の時刻を見ながら業務を行っている。